第1編 物質の状態

第1章 物質構成する原子と分子

1原子

2物質の分類

 

 原子

【物質】

すべての「物」は,〔 質量(重さ) 〕と〔 体積 〕をもっている。

 

鉄などの固体は一定の形と体積があり,力を加えなければ変形しない。水などの液体は一定の体積をもつが一定の形はもたず,形はそれが入っている容器の形に従う。塩素などの気体は一定の体積と形をもたず,体積はそれが入っている容器の容積に,形はそれが入っている容器の形に従う。

物を形や大きさなど外見に着目した場合,その物を〔 物体 〕という。例えば,コップといった場合,「液体が入れられる形」,「手でもてる程度の大きさ」といった外見があるので物体である。コップが割れるなどした場合,形・大きさはあるので物体ではあるがコップではなくなる(別の物体になる)。

物をつくっている〔 材料 〕に着目した場合,その材料を〔 物質 〕という。

 
 

例題 次の文の空欄(ア),(イ)に入る適語を答え,後の問いに答えよ。

物を外形や用途に着目した場合,その物を(ア)という。また,(ア)をつくっている材料を(イ)という。

(1) 次の中から文中の(イ)であるものをすべて選び,番号で答えよ。

① 鉄  ② スプーン  ③ コップ  ④ ポリエチレンテレフタラート ⑤ 水

(2) 文中(イ)が固体の場合,質量と体積を表すときにはどのような単位を用いるか。

 ① L  ② cm2  ③ cm3  ④ m  ⑤ g  

 

() 物体  () 物質  (1 )①,④(PETのこと),⑤  (2) 質量 ⑤  体積 ③

 

【物質を構成する粒子】

イギリスの化学・物理学者ドルトン(17661844)は,物質を小さく分けていくとこれ以上分けられない最小の粒子の状態になると考え,この粒子を〔 原子 〕と呼んだ。

 

 
 現在,世の中には天然に存在するもの,人工的につくられたもの合わせて1億種以上の物質が確認されている(毎年約1000万種が新たに確認されている)。これらの物質は,約〔 100 〕種類の原子がさまざまな組み合わせによって結合してできている。下の①や②のように2種類以上の原子からできている物質を〔 化合物 〕,③のように1種類の原子からできている物質を〔 単体 〕という。 
 

また,原子の種類のことを〔 元素 〕と呼んでいる。(元素の実際の姿を指す場合が原子である)

 

【原子の性質】

①原子はそれ以上分けることができない。

 原子は,半分になったり,1つの原子から2つの原子に分かれたりすることはない。ただし,現在では原子はさらに小さな粒子(陽子,中性子,電子など素粒子という)からできていることが分かっていて,原子を壊すこともできる。原子が壊れたものは物質を構成する粒子ではなくなる。例えば,銅原子は銅として最も小さな粒子で,銅原子が壊れたものは銅ではなくなる

②原子は種類によって大きさと質量が決まっている。

③原子は新しくできたり,別の原子になったり,消滅したりすることはない。

現在ではウラン原子など分裂して他の原子に変わるものも見つかっている。

 
 

【原子の質量(重さ)】

現在では,原子の大きさや質量はすでに求められていて,大きさは非常に小さく,質量は非常に軽い。

  原子の大きさ:〔 約 1100000000 〕cm=〔 0.00000001 〕cm 

                           1×108と表す

  原子の質量:〔 1×10241×1022 〕g

 原子の質量は,とても小さくて扱いにくい。そこで原子どうしの質量を比較して比で表してみると次のようになる。例えば水素原子と炭素原子の質量を比較してみる。

 
 

 つまり,炭素原子の質量を〔 12 〕とすると,水素原子の質量は〔 1 〕となる。現在では炭素原子を12とし,これを基準に(相対的に)他のすべての原子の質量を求めている。主な原子の値(相対値)は次のようになる。

 
 

この値を〔 原子量 〕という。結果的に各原子が水素原子の何倍かを示したものになる。また,原子量は比なので単位はつかない。

 

例題 次の文中の空欄に入る適語を答えよ。

 物質をつくっている最小の粒子を(ア)という。(ア)の種類はおよそ100種類知られている。そのうち天然にある原子は,(イ)種類ほどあり,そのほか人工的に作り出されたものがある。これらの(ア)がさまざまに結びついて多くの物質をつくっている。原子は実際の粒子を指すが,原子の種類を指す場合は(ウ)という。物質の中で1種類の(ウ)からなるものを(エ),2種類以上の(ウ)からなるものを(オ)という。

() 原子  () 90  () 元素  () 単体  () 化合物

 

例題 次の文を読んで後の問いに答えよ。

 原子は直径がおよそ(ア)分の1cmぐらいの粒子で,ドルトンは原子の性質を次のようにまとめた。「原子は非常に小さく,軽い」,「原子はそれ以上(イ)ことができない」,「原子は種類によって(ウ),(エ)が決まっている」などである。

 原子の質量はとても軽く扱いにくいので,(オ)原子の質量を基準にして他の原子の質量を比で求めた値で表す。この値を(カ)という。

(1) 文中の空欄に入る適語を答えよ。

(2) ドルトンの原子の性質には,文中の性質以外にもう一つある。その性質を述べよ。

(3) 炭素原子とアルミニウム原子の(カ)はそれぞれ,1227である。また,炭素原子1個の質量は2.00×1023gである。アルミニウム原子1個の質量を求めよ。

 

(1) () 一億  () 分ける  () 大きさ  () 質量  () 炭素  () 原子量

(2) 新しくできたり,別の原子になったり,消滅したりしない。

(3) 2.00×1023×(27/12)4.5×1023g

 

【元素記号】

 原子の種類(元素)を表す記号を〔 元素記号 〕という。元素記号は,アルファベットを用いて表す(各元素のギリシャ語や英語の頭文字を使っている)。アルファベットは26文字,元素は約100種類なので,アルファベット1文字か2文字で表す

 

例) 水素 〔 H 〕   炭素 〔 C 〕  (1文字の場合,必ず大文字にする

   ナトリウム 〔 Na 〕  銅 〔 Cu 〕

2文字の場合,1文字目を大文字で2文字目を小文字にする